山田商会製:JF06セパレーター&インストーラーの説明

サービスマニュアルを入手せず、この説明だけで
作業可能と判断しないで下さい。
(一部の猛者除く)

また、説明で「グリス」とある場合は
「カッパー>モリブデン>リチウム等のグリス」です。
2ストオイルやCRCではありません。



セルギヤプラー(スタータークラッチプラー)の部

写真では便宜上腰下のみの状態ですが
ワンウエイクラッチ対処の為、車載時、或いは
フライホイールを取り外す前に作業を行います。

24、27のオフセットメガネレンチが各一丁必要です。
M16ボルトのロットにより27が2丁の場合あり。

お手持ちの工具の都合の悪い場合にはホームセンター等で
頭が24ミリの「M16*45〜」をお買い求め下さい。
(主に黒色、また必ず頭部に10.9-SCM435の刻印のあるもの)

「一つはモンキーで良いか?」多分お考えが甘いです。

クランクをシバイて外す場合はナットを外す必要はありません。


ポット1(サービスマニュアル*07WMF-KFH0100の代用)
をナット目掛けてキッチリと差し込みます。
かかりが浅くナットを舐めますと取り返しがつきません。
(と言うほどのもんでは無いですが)

フライホイルをユニバーサルホルダ等で固定し、
27のメガネレンチ等を用いポッドを左に回しロックナットを外します。
どうせ後でバラすならコンロッドを規制しても良いかも知れません。

片手でポットを保持し、空いた手でレンチを左に回します。
ポットの掛かりが浅い為、保持が甘いとずっこけて痛いです。
27のコマがあればインパクトレンチでも良いでしょう。

整備書では5kg程度の締め付けですが実際は強大な力が必要です。
エンジン単体の場合は必ず第三者にエンジンを固定してもらって下さい。



一旦弛めば後はポットを手で回せばナットを外せます。

次はプラーの段取りです。


後の工程でクランクシャフトねじ山の損傷を防ぐ為
M12ナットをシャフトのツラ〜0.5mm程度出した状態にします。
クラッチを抜く時に邪魔になりますのでM12*1.25のダイスを
持っている場合、このナットは無くても良いでしょう。


ポット2を一杯までねじ込みます。
この場合もフライホイルを固定し、27のレンチで軽く締めます。
あまりにもしっかり締めると後述の「手でわしづかみ」時にエライ目に遭います。



グリスを塗布したM16ボルトをねじ込みます。



ポット2をレンチで固定しM16ボルトを締めこむ事により
スタータクラッチのテーパーシャンクを外します。
「バッカーン」
と言う
「うああ!なんか壊れた、絶対壊れた!!どーしよー??」
と言う爆裂音と共に外れます。(そうでもないエンジンも、もちろんあります)
マジで何かが壊れていない事を祈ります。


クランクの先っちょに付けたナットが邪魔して
ここまでしか抜けて来ません。
ワンウエイクラッチを鷲掴みにしてポット2を左に回し外します。



M12ナットを外し、アッシーを取り外します。



無事外れました。
(現在写真の長ナットは付属しません)


ワンウエイクラッチの組み付けは外す手順とは異なります。
サービスマニュアル8-27〜8-28、8-31を参照して下さい。

リード90用もそうですが、テーパーシャンクを「圧入」と勘違いされて
ありえない工具の使い方をしてワヤにされる方、
当方には聞けずに各所掲示板で質問されている方を見かけます。
サビマをお持ちで無い、或いは熟読されていないのが丸解りです。

「じゃあココで説明に加えてくれてもいいじゃん!」

とのご意見ももっともですが、そのような状態に陥る方は
他の作業でも必ずと言って良いほどトンチンカンな作業をなさいます。
一々付き合っていられませんので「サービスマニュアル参照」です。

言い換えれば「この構造、この機構はなんたるか?」が理解出来る方、
幾多の腰下を分解し、腕に覚えのある方はサビマの必要も無ければ
この説明すら読む必要は無いでしょう。

お怪我のございませんように。



セパレーターの部

商品発送時URLお送りします。



インストラの部


ベアリングが適切に圧入された左右ケースです。
当方の工具はベアリングドライバの代用にはなりません。
叩き込む、コンロやヒートガンでケースを膨張させる等して下さい。
事前の段取りはマニュアル参照の事。


大端や勘合部に2ストオイルを塗布します。


左ケースに突っ込みます。
この場合も寒い時期などはあらかじめベアリングのインナーレースを
ヒートガン等で加熱しておきます。(工具のカジリ防止&引き込みが楽)


ネジカラーをねじ込みます。手締めでOK


パイプ(長)をベアリングまで突っ込みます。


インストラの段取りをします。
各パーツを清浄に保った後にグリスを塗布し
上記の順に組み付け、バーのバカ穴側にさし込みます。


おもむろにネジカラーにねじ込み、遊びが無くなるまで
M12ナットを締めます。


レンチでボルトを保持し、M12ナットを締めこむ事によりクランクを引き込みます。
後でマニホールドからコンロッドが飛び出ていてタマゲぬように留意します。
手応えを感じたらそこで引き込みを止めます。



以下同文


右ケースをあてがいます。
脱脂や液体シール等はここでは省いています。
サービスマニュアル参照の事。


ネジカラー(丸)をねじ込みます。


パイプ(短)をベアリングまで差し込みます。


左側と同様にインストラをセットします。


ノックピンの位置に留意しつつ引き込みます。


無事収まりました。

シール打ち込み、ボルトでの締結等の注意点はサービスマニュアル参照です。
左ケースから軽く追い引きする、プラハンで「ケースを」シバキ倒す等
を行いシールを入れる前の段階ではクランクは極めて軽く回転せねばなりません。




おまけ

クランクにベアリングがくっついてきた場合、汎用のベアリングセパレーターを用いる事も出来ます。
アタシはオークションで購入しました。今はわかりませんが、2000円しなかったと思います。
写真はジョグのクランク、セパレーターは「中」をグラインダーでピンピンに尖らせ使っています。
JF06の場合ホームセンター等で入手可能な
寸切り全ネジボルトM8:L=180が2本、ナット2個あれば間に合うでしょう。




パイプとインストラでシールドライバ
07965-GM00100
07965-GM00300
の代用も可能です。
軽く打ち込んでから規定値まで押し込みます。



当然押し過ぎると今までの作業は全てパーになります。


当方の販売する工具が機能を果たすと言う事実を書いた最低限の説明です。

マニアな皆様が各々のサイトに割るときの留意点、インストール時の勘所を記載されているのでマニュアルにも載っていないような細かいところは省いてあります。純正工具でもそうですがインストール時等は鬼のように引っ張れば良いと言うものではありません。ある程度の経験や適切な「節度」が必要です。

また、ホンダ車の場合はクランクのそのままでの再利用は全く持ってお勧め出来ません。(JFは多少マシです)
芯出す蔵に載せるとベアリングから異音を発生していない状態のクランクでもコンマ台近くズレています。(特に左側)このまま組んでしまってはいずれ早晩せっかく交換したベアリングにダメージが及ぶのは必至です。新品に交換がベターですが、再利用の場合は(腰下割りまでしたのですから)プロに芯出しを依頼したいな、って個人的には思います。

この工具を利用して起こした事故、破損、その他いかなる損害も当方は責任を持てません。

くどいですが
マニュアルを見れば解決するような内容、「コレの他にナニがいるんですかね?」
等のご質問にはお答えしかねます。

スラスト棒状コロ受けの採用を快諾して下さいましたH.I.D様に感謝いたします。

写真程度まで分解(補器類等が一切無い状態)していただければ
持ち込み(送付の場合は元払い→着払い)での分解組み立て承ります。
腰下加工等ご自分でなさりたい場合はその状態での返送も可能です。
分解のみ:5000円

分解組み立て
使用するパーツ:純正ベアリング*2:純正シール*2 約4500円
クランク検芯後SM基準値逸脱の場合相談。
作業工賃:10000円〜汚れや程度によります。

山田商会

29/11/2006
06/03/2007△1
15/01/2008△2 セルギヤ外しの手法1を割愛